大前研一のニュース 2011年5月25日 (水曜日)

東京電力は日本政府によって殺された

政府は13日、福島第1原子力発電所の事故に伴う東京電力の損害賠償を支援する枠組みを決めた。これは東京電力が上限なく補償の責任を負うことを基本に、電力各社と国が東京電力の支払いを支援することなどが盛り込まれている。また枝野官房長官が同日、「金融機関が東京電力に対する融資の債権放棄などをしなければ国民の理解は到底得られない」と発言したことを受け、この日の株式市場で大手銀行株が軒並み安の展開となった。 枝野官房長官は自分の発言の意味を理解できているのだろうか? この発言によって、東電は市場からも銀行...


台湾にも公平に感謝の意を示すべき/日本は人の振り見て我が振り直せ

東日本大震災を受けて台湾で集まった義援金の贈呈式が21日、東京・六本木で行われた。台湾外交部(外務省)によると、これまでに集まった義援金は官民合わせて144億円にのぼるということ。 米国、英国、韓国、中国、ロシア、フランスの6カ国7紙の新聞に感謝広告を掲載した日本政府だが、台湾の新聞には同様の感謝広告を掲載していない。菅総理の言うところでは、日本政府は菅直人首相名で台湾の馬英九総統へ感謝のことばを届けたとのことだが、なぜ他の国と同じように新聞広告を掲載しないのか私には理解できない。 どこの国...


被災地復興の2つのプランとは?/政府は正しいコミュニケーションを心がけよ

菅政権は東日本大震災の被災地復興をめぐり、無秩序な乱開発を防ぐため、現在2カ月以内となっている住宅などの建築制限期間を最長8カ月に延長する方針を固めた。また各地の農地を集約して大規模化を進める一方、壊滅した小さな漁港も拠点ごとに集約するための法案を今国会に提出する方針を固めている。東北地方を新たな「食糧供給基地」と位置づけ、攻めの復興策を目指す考えだ。 政府が述べている基本的なアイデアは、私が提言したものとほぼ同様だ。土地の低い場所には公的な施設や緑地を置き、人は高台に住む。漁民の人たちにも高...


日本政府の情報公開の方針・伝え方に、大きな問題がある

福島第1原子力発電所事故で、気象庁は5日、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づいて同庁が作成した放射性物質の拡散予測をホームページ上に公表した。 放射性物質の拡散状況を見ると、福島第1原発から直近の地域では、約1000ミリシーベルトの放射線量が蓄積していくという、非常に危険なレベルだ。 その1つ外側の地域でも約500ミリシーベルトの放射線量と測定されている。このレベルでも、念のために避難勧告を出すべきだと思う。 ただし大げさに捉え過ぎるのもよくない。500ミリシーベルトの放射線量とは、1...


これからの電力抑制の仕掛け/原子力産業、東電の将来とは?

今夏の計画停電を回避する策の一つとして、菅政権が電気事業法27条に基づく電力使用制限令を発動する方針を固めた。石油危機に見舞われた1974年時には量を抑えたが、今回は「ピーク」を抑えるため昼間の時間帯の消費電力カットを狙う方針だ。 以前から私は提言しているが「計画停電」だけは絶対に避けるべきで、この方針は非常に良い傾向だと思う。今後の「重要な視点・施策」として考えるべきは次のようなことだ。 まず注目すべきは揚水発電。東電の管内には意外と多くの揚水発電所があり、東電全体のキャパシティの約10%...


政府が犯した対応の過ちとは?

厚生労働省は23日、福島県など4県に対する一部農産物の出荷停止措置を踏まえ、宮城県など隣接する6県に対しても農畜産物の放射性物質検査を実施するよう指示した。同日、茨城県内5市村の水道水から、乳児向けの暫定規制値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性ヨウ素が相次いで検出された。また経済産業省原子力安全・保安院(NISA)は26日、東京電力福島第1原子力発電所の放水口付近の海水から、法定の濃度限度を約1250倍上回る放射性ヨウ素131が検出されたと発表した。 野菜、水道水、海水と相次ぐ汚染報...


東電の計画停電は愚の骨頂、問題解決になっていない

東京電力は、14日から区域の1都8県を5つのグループに分けて順番に電力供給を停止する計画停電を開始した。しかし対象地域やグループ分けは毎日変更され、停電実施日に実際のグループと一致していない例も多いなど、混乱が続いている。 この混乱は東京電力が機能不全に陥っている証拠だと私は思う。今回の計画停電について、いくつか指摘したいポイントがある。 まず第1に、東京電力は現代の「コンピューター社会」を理解していないのか?という点だ。今の社会で電気の消費量が多いのはコンピューターだが、この点について全く...


災害対策/強い日本になるために

11日の東日本巨大地震を受け、与野党は14日の衆参両院の国会審議をすべて取りやめる方針を固めた。14日に衆院災害対策特別委員会の理事懇談会を開き、今後の対応を協議するなど各党は国会対応などで協力し、災害対策に全力を挙げる考えとのこと。 今回の地震で被災地の中には緊急度・優先順位の関係で、未だにライフラインの確保を含め十分な公的な支援がなかなか受けられずに困っている方々が沢山いると思う。この事態を避けるためには、一定区間ごとに「非常用のジェネレーターセット・緊急食糧・医療器具」などを配備し、街全...


ジャスミン革命の影響を恐れる中国/中国の動きを警戒する米国

中国の第11期全国人民代表大会第4回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕した。温家宝首相は施政方針演説に当たる政府活動報告で、「今年から5年間の年平均成長率の目標を7%に設定する」と表明した。 今回の全人代で明らかになったことは、中国がチュニジアから始まった「ジャスミン革命」に怯えているということだ。それゆえ、所得の低い人に対しても所得の高い人に対しても「優しい」姿勢を見せつつある。民主化革命を恐れるサウジアラビアやバーレーン王室の心境に近いものがあると私は思う。 「今後5年の年平均成長率は7...


大学・文科省が検討すべき入試制度

先月25日と26日に行われた京都大学の入試で、試験問題の一部が試験時間中にインターネットの質問掲示板に掲載されていたことが分かった。またその後の調べで、同志社大(8日)、 立教大(11日)、早稲田大(12日) でも同様のカンニングが行われていたことが明らかになったとのこと。 今後、試験場への携帯電話の持ち込みを禁止するかどうかなど、議論されていくと思うが、そもそも私に言わせればこの処置は「対症療法」に過ぎない。教育制度をもっと根本的な部分から創り変える必要があると、私は思う。 10年以上に渡...


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